シルク糸の強度

最近、プラチナボーイと言う名前をよく耳にいたします。このプラチナボーイとは雄繭だけを使って繰糸した糸のことを呼んでおります。昔から養蚕家からは「オスの蚕からは良い糸が取れる」と言われて来ました。この雄の繭と雌の繭を比較すると、強度は雄繭の方が強いです。卵を産まない雄のカイコはその分体力を温存して、身体にあるタンパクのすべてを糸に吐き出すことができます。人間でも、動物でも同じですが、雌より雄の方が力があります。具体的に説明すると、蚕が営繭する時きには、頭を左右に大きく振りながら糸を吐いていきます。その際に、雄の方がパワーがありますので、頭を早く振って繭を作っていきます。このことにより、生糸の結晶領域(アミノ酸分子量)が高くなります。生糸の結晶領域が増せばますほど糸の強度は強くなります。

また、一般的には繭の内層と外層では外層の方が強度が強いです。これはカイコが糸を吐き始めのころは体力も十分に残っておりますが、終わりに近づく内層部分は、蚕のパワーも弱くなって、吐く力も衰え、結晶領域が低くなっていきます。一方、カイコの飼育環境でも同じことが言われます。飼育適温は25度前後ですが、高温多湿の環境で飼育すると、カイコの体力が失われて強い糸を作ることはできません。なお、余談になりますが、栄養価の高い桑の葉で飼育したカイコも同じことがいえます。その他、生繭と乾繭では、後者の方が結晶領域が高くなりますので繊維強度は強いです。ただ、結晶領域が増していくことで糸の伸度は悪くなります。

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